研究概要 |
実用化段階を迎えた磁気浮上車両において,車体の軽量化は高速化や省エネルギー化にとって重要な課題である.しかし,車体の軽量化にともない車体の剛性が低下すると,高速走行時には剛体運動ばかりでなく曲げ振動が励起され,乗り心地や走行安定性の劣化が生じる.本研究はこうした柔構造化した磁気浮上走行体の弾性振動抑制を図ろうとするものであり,このような制御技術を確立することは今後ますます軽量化する磁気浮上車両において実用的な意味からも非常に重要な課題である. 申請者はこれまでに,電磁石を用いて周辺自由端の長方形薄鋼板を安定に浮上させるためのディジタル制御系設計手法の開発を行い,その実現性を理論的・実験的に確認している.また,DCサーポモータを利用してトラックシートのサスペンションをアクティブに制御することにより乗り心地を改善するシステムを開発し,実車スケールの加振実験を実施し,その実現性を確認している.本研究では上記のような研究を通じて得られた知見を基礎にして,高速走行する柔軟な磁気浮上体が軌道などから受ける非定常な外乱により励起される弾性振動を抑制するための制御システムの開発を行い,実験的考察を通じてその制御系設計手法の基礎資料を作成することを目的とした. 昨年度までに,完全非接触浮上している柔軟な物体が走行時に受ける非定常な外乱を模擬し,この際に発生する弾性振動に対する制御性能を実験的に検討できるシステムを製作し,基礎的検討を行った.本年度はこの実験装置を用いて,制御対象を磁気浮上させながら,高速走行時に制御対象が受ける様々な外乱を,支持部を加振することによって発生させ制御対象へ入力し,制御性能への影響を考察した.特に,弾性振動のスピルオーバ抑制に対する考察を行い,その効果を確認した.
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