研究概要 |
1. 本研究の目的:本研究では,将来開発普及が期待される介護,リハビリなどを支援する機器において,その技術課題の一つである人と機械のコミニュケーションを扱った.人と接近し能動的に働く機器が一般の人に自然に受け入れられるには,コミニュケーションの非言語なモードである動作,デザイン,音などに工夫が必要である.本研究ではこの中の動作に着目し,人と腕型ロボットの間のコミニュケーションについて実験を行った。 2. 実験の方法:構築した実験環境は腕型ロボット(大きさの異なる二台),これを駆動するドライバ,生体信号を計測するポリグラフ,データ処理などを行うパソコンからなる.ポリグラフ,パソコン,ロボットドライバなどは本補助金で購入した.実験におけるロボットの動きは,周期的な定型動作,不意な動作の組み合わせ,原始反射を模擬した動作である.被験者にはこれに手先を追従するよう依頼した.被験者の反応の定量化は生体信号(心電,眼振,筋電)と主観調査(14項目7段階)により行った. 3. 結果:生体信号より瞬時心拍,まばたき数などについて考察した.統計的な解析より,被験者に集中力を要求する動作ではなんらかの傾向を見ることができた.主観調査における回答を点数化し統計的解析を行った.予想に反しロボットの大きさの差による違いはほとんどなかった.因子分析によりロボットの動作の機敏さ,規則性,愉快さ,人間味の4つの因子が抽出できた.不意な動作の組み合わせでは機敏さの負荷力が高く,規則性の負荷が低くなるという妥当な結果を得ている. 4. まとめ:研究期間のうち実験環境の構築と準備に多くの時間が費やされ,実験結果の解析がまだ不十分である.また,実験時の被験者の反応は実に様々で,被験者集団を全体的に評価するアプローチがこのような研究テーマに有効であるのかという疑問を感じる.さらにロボットの動作の評価方法について検討が必要である.
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