研究概要 |
マイクロロボットシステムへのエネルギー供給システムに関する研究として,焦電効果及び光圧電効果を持ったPLZT素子を用いた非接触光エネルギー及び情報供給システムに関しての研究を行った.焦電効果は素子の温度変化に比例した電荷を発生する現象で,熱エネルギーに依存し,光圧電効果は紫外線の照射による電荷の発生で熱その他の影響を受けない.そのため,焦電効果と光圧電効果は独立した現象として存在し,供給する媒体を赤外線と紫外線を用いることによって独立した供給が可能である.本研究では,小型でバッテリーの搭載が困難なマイクロロボットシステムや他のエネルギー供給システムではエネルギーの受信ならびに変換のためのシステムを内蔵することが困難なシステムにおいて有利になると考えられる素子単体で受信及び信号の発生ができるPLZT素子を用いたことにその特徴がある. パルス上の熱エネルギーの商社による温度変化から発生する焦電効果によるエネルギー供給と,紫外線による光圧電効果による情報伝達により,本システムは構成され,実験による動作の確認を行った.現時点での実験結果ではおよそ10nA程度の電流の供給と2bps程度の情報伝送が確認でき,これはデバイスを駆動するには十分とはいえないが,これまで研究を行った静電アクチュエータなどのように高電圧でありながら電流を必要としないようなアクチュエータへの応用が可能であるとの結論に達している.また,これらの特性にはPLZT素子の組成やシステムの構成などに改良の余地があることから,材料からのアプローチなどによる特性の改善を行っていく予定である.
|