研究概要 |
次世代の知能化生産システムを構築するために,工作機械の自律分散制御に関する研究を行った。具体的には,外部から制御可能なオーブンアーキテクチャの小型CNC旋盤に通信機能を備えたワークステーションを上位コンピュータとして接続し,高度な情報処理と高精度な旋削加工を行うことが可能な知的工作機械を構築した。構築した工作機械について,自律と協調の観点から研究を行い,以下の研究成果を得た。 (1) 工作機械の自律のための要素技術開発と検証 自律した工作機械のもつ機能のひとつとして,外乱が生じた場合にも高精度の加工を行うことをあげ,必要な要素技術の開発を行った。具体的には,加工中に工作機械の熱変形によって生じる加工誤差を自律的に補正するための制御プログラムを開発した。本手法の有効性は切削実験により検証し,加工誤差を80μmから25μm以下に改善できることを確認した。 (2) 工作機械の協調のためのアルゴリズム開発と検証 生産システム内で工作機械が,集中的な管理機構からの指示を必要とせずに自律的に生産活動を行うためには,他の機械に対して協調を行う必要がある。このための手法として,分散環境下でスケジューリングを行う際に利用可能な再帰的伝播法と名付けた新しい情報交換方法を提案した。提案した手法は,計算機シミュレーションにより検証を行い,従来のディスパッチングルールよるスケジュールよりも良い結果が得られることを明らかにした。
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