研究概要 |
本研究では移動型福祉・ホームロボットにおいて,目標物や障害物の位置・姿勢を認識する外界環境認識システムと,室内における自分の位置を知る自己位置同定システムの2つについて開発を行い,これらを統合して移動ロボット用ナビゲーションシステムを構築することを目的とする.以下に具体的な研究実績を述べる. 1. 対象物体の位置・姿勢計測システムの開発と多関節型ロボットへの応用 対象物に認識用マーカを設置し,ロボットに搭載された画像処理装置でそれを認識し,物体の位置・姿勢の計測を行う.昨年度までに食器の4カ所にマーカを塗布し,これを画像処理装置で認識し,マーカの見え方より食器の重心位置,回転角度を算出する手法を提唱した.本年度はマーカをバーコード化し,16種類の食器を判別できるようにした.また実際に多関節型ロボットの手先にCCDカメラを装備し,テーブル上の任意位置に複数種類の食器を配置し,それら各々の位置,姿勢,種別をリアルタイムに認識することに成功した. 2. 自己位置同定システムの開発と移動ロボットへの応用 自己位置同定システムでは,部屋の天井の数カ所に超音波受波器を設け,ロボットから発信される超音波パルスの受波器への伝播時間を測定し,三角測量の原一理によりロボット自身の室内での位置を計算する.無指向性コンデンサマイクロホン4個を受波器とし,発信器として無指向性点音源近似できる電気火花放電を用いて,システムを完成させた.本システムの3次元計測精度は±0.9mmであり,従来の超音波システムで報告されている数十の精度に対して良好な精度が実現された.また本システムを実際に移動ロボット台車に搭載し,円,直線軌道をナビゲーション走行させることに成功した.今後は1,2のシステムの統合を鋭意行う予定である.
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