研究概要 |
本研究では,COP3で決まったわが国の温室効果ガス削減目標を考慮して,2010年における電気事業全体のCO_2排出に上限を想定し,CO_2排出原単位に応じた独立系発電事業者(IPP)の参入可能容量および一般電気事業者(utility)にとっての経済的価値を算定した。主な成果を以下に示す。 1. 電気事業審議会の想定電力需要(1056TWh)において原子力が70GWの場合,電気事業のCO_2排出制約が1990年比6%減であっても,IPPは発電パターンやCO_2排出原単位によって参入容量が制限されない。 2. 原子力が60GWの場合,IPPが参入できる余地は10GW増加する。しかし,utilityのCO_2排出原単位は増加するため,CO_2排出原単位が大きいIPPの参入可能容量は,原子力が70GWの場合よりも,むしろ減少する場合がある。 3. 電気事業のCO_2排出制約下では,utilityがCO_2排出原単位が大きいIPPから電力を購入する際の上限価格は,CO_2排出原単位が小さいIPPに対し,60%程度まで低下する。 4. CO_2排出原単位が異なるIPPに対し,その参入確率を考慮してutilityが設定すべきIPP電力の上限価格を明らかにした。 また,コージェネレーションシステム(以下、CGS)を用いて熱電併給を行うIPPを想定し,その導入がわが国全体の省エネルギー性に与える影響について,以下の検討を行った。 1. CGSを火力発電機と位置づけ,LNG複合火力との比較によってCGSを評価する手法を開発した。 2. ホテルや病院へのCGS導入は,わが国全体の省エネルギー化にとって有効であるが,事務所や店舗などへの導入は,周辺の住宅需要と地域熱供給システム(DHC)を構築すれば有効となる。 3. わが国の3700市区町村の需要密度を考慮すると,DHCの最適導入容量は3.8GW程度である。
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