研究概要 |
本研究の目的は,電力用超伝導機器の実用化の為に解決されるべき課題である,超伝導導体内の電流分布を一様化を図る為の指針を得ることである。そのために,まず従来の方法では十分な測定ができなかった電力機器用超伝導導体内の電流分布を測定できる新たな測定手法を確立し,次に,得ちれた実験結果を理論的に解析し,導体内の不均一な電流分布が生じるメカニズムについて検討を行った。その結果,以下の研究成果が得られた。 1. 試料導体への着脱可能なピックアップコイル群を新たに考案し、これによる導体周辺の自己磁界分布や測定結果から電流分布を推定できる装置を開発した。 2. この装置の測定精度は,電力機器用超伝導導体内の電流分布を議論するのに十分であることが,銅線からなる擬似導体を用いた実験により示された。 3. 全超伝導発電機用に開発された絶縁無し素線を持つ2次より線導体を測定試料とし,この導体の定常状態における電流分布を測定した。 4. 測定感度を向上させ測定点数を増やし,ピックアップコイル群による非接触電流分布測定の精度を上げることで,偏流した導体内の電流分布が導体長手方向に一様化していく様子及びこの変化が周波数依存性を持つことを観測できた。 5. 測定された結果は,素線間の接触抵抗をはじめとする素線間電気的結合効果を考慮した分布定数回路を用いた近似解析と定量的に一致する午とを示すことができた。 本装置を活用して,さらに種々の電力機器用超伝導導体内の電流分布を測定することにより,種々のタイプの導体に対する明確な電流一様化設計指針を得られることが期待される。
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