ベアリングレスモータは誘導機形であり、電動機側の制御として、すべり周波数制御形ベクトル制御を行っている。まず、実験的に二次抵抗変化が生じた場合、ベアリングレスモータの制御にどのような影響を及ぼすかを明らかにした。すなわち、二次抵抗設定値に大きな誤差が生じた場合、加速後十数ms後にタッチダウンしてしまう現象である。さらに、U相起磁力方向のサーチコイルの電圧を積分して得た歯部磁束波形Φとすべり周波数制御形ベクトル制御系内で発生する回転子鎖交磁束のU相巻線起磁力方向成分Ψの間に位相差を生じるというものである。 しかし、磁束検出時に半径方向の位置を検出するセンサのノイズや主軸の機械的アンバランスによって磁束Φが歪んでしまうため、過渡時に於いては定量的にその位相差を確認することは難しかった。 この問題点を解決するために、センサノイズの低減を実現すると共にデジタルシミュレーションにより誘導機モデルを作成し、磁束の位相差と振幅の変化のシミュレーションを行い加速後十数ms後に不安定となるのは磁束の方向が大きくずれることが原因であることを明らかとした。二次抵抗値を実際の値よりやや大きく設定することにより磁束方向を維持して安定に主軸を磁気力により支持することが可能であることを明らかにした。今後は、過負荷時にも安定な主軸支持を行う制御システムの構成が必要である。
|