研究概要 |
1. 研究要旨 本研究は,定速および可変速駆動用の新規な自励単相誘導発電機(以下,電磁石なし交流発電機と記す)を開発し,その実用性を試作モデルによる実験と理論解析によって明らかにしたものである。特に,検討した発電機は,従来電圧制御がやりにくかった電磁石なし交流発電機において,発電機の周方向に電圧制御用のトロイダルコイルを装着し,これにより電圧制御を試みた点に特長がある。以下,実施概要および成果を示す。 2. 実施概要及び成果 すでに平成9年度の研究期間では,700W,100V,4極の単相モデル発電機を試作し,その動作特性を実験と理論の両面から検討している。その結果,発電機の周方向に取り付けた電圧調整用のトロイダルコイルによって,出力電圧を無負荷で20〜120Vと広範囲に調整できることを確認している。しかし,負荷時は発電機の磁気飽和によって電圧の制御範囲が制限される難点があった。そこで,平成10年度は,まず電圧制御時の内部磁場の挙動を正確に把握するため,試作モデルに内部磁場観測用の探りコイルを取り付け,電圧制御時における内部磁場の挙動を明確にした。次に,その結果を踏まえ,電圧制御用コイルの有効な活用法について検討した。その結果,制御用コイルだけで電圧制御するのではなく,これを交流リアクトルとして用い,発電に使用するコンデンサと並列に接続してそのコンデンサ電流を調整することにより間接的に出力電圧を調整すれば,無負荷時から負荷時まで広範囲に電圧制御できることが判明した。さらに,その制御法を用いて,定速だけでなく可変速駆動時もスムーズに電圧制御できることを確認した。 以上の研究成果は,新規な電磁石なし交流発電機を開発する際に有用な基礎資料を与えるものである。
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