研究概要 |
1. 可視化プログラムの計算時間の短縮化 可視化画像の高い解像度を得るため,高次の球面波モード関数の計算が必要となり,可視化プログラムを実行するには膨大な計算時間が必要になる.そのため,本年度では球面波モード関数の次数と可視化の誤差との関係を定量的に調べ,最低限の次数を用いて,高精度の可視化を実現した. 2. 球面走査の高速化 球面走査で測定した電界強度のデータがGPIBインターフェースでパソコンに取り込まれる.従来では,プローブを球面上にある場所に移動し,そこで測定した電界強度のデータを転送してから,プローブを次の測定位置に移動するという断続的な測定法を使用していた.そのため,一回当たりの測定時間が2時間30分となっていた.今年度は,プローブを連続に球面上に走査させ,測定点の位置情報を測定した電界強度のデータと共にパソコンに取り込むようにに測定制御システムを変えた.また,測定後データ処理によって,一定な間隔おきに電界の測定データの採出を行うことにした.これによって,一回当たりの測定時間は40分と大幅に短縮された. 3. 電磁界走査の測定ノイズと可視化精度との関係の検討 球面上の遠方電磁界を測定するとき,測定機のネットワークアナライザの熱雑音がノイズとして測定信号に混入する.近傍電磁界を推定すると,混入されたノイズが大きく増幅され,推定される電磁界分布に現れる.そのため,測定ノイズと可視化精度との関係を定量的に調べた.その結果から,ネットワークアナライザのダイナミックレンジから,近傍電磁界の誤差を予め予測できるようになった. 4. 可視化の応用 完成した電磁波可視化システムを用いて,ダイポールアンテナ,スロットアンテナ,八木・宇田アンテナなどの近傍電磁界分布を可視化し,システムの評価を行い,可視化システムの高精度とその実用性が確認できた.
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