研究課題/領域番号 |
09750389
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
電子デバイス・機器工学
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
菊池 昭彦 上智大学, 理工学部電気電子工学科, 助手 (90266073)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1998年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1997年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | ガリウムナイトライド / アルミニウムナイトライド / 量子準位間遷移 / 結合量子井戸 / 光通信用素子 / 分子線エピタキシー / 分子線エピタキシ- |
研究概要 |
窒化物半導体であるGaNとAlNの大きな伝導帯オフセットを近赤外光領域における量子準位間遷移光デバイスへ適用し、優れた耐環境性や波長安定性を有する光デバイスの開発を目指し、分子線エピタキシー(MBE)法による窒化物半導体結晶成長に関する研究を行った。 1. MEE法によるGaNの高品質化 Ga原子の表面拡散を促進するMigration Enhanced Epitaxy(MEE)法によりGaNを成長するとピット等の無い良好な表面モホロジーが得られることを見出した。MEE法で成長したGaN上に通常のMBE法でGaN:Siを成長した。室温ホトルミネッセンス半値全幅は31meV、室温移動度は372cm^2/Vs(キャリア濃度1.2x10^<17>cm^<-3>)であり、MBE法でAl_2O_3基板上に成長したGaNでは最高レベルの値が得られた。 2. GaNの2.6μm/hr高速度成長 基板面への活性窒素供給量を増加することにより、2.6μm/hrというMBE法では世界的にも例を見ない高速度でGaNの成長を行った。高速度で成長したGaN結晶の品質は、電気的・光学的特性から見ても低成長速度の場合に対し遜色無く、MBE法による厚膜光デバイスの作製が可能であることを示した。 3. InGaN/GaN多重量子井戸、GaN/AlN超格子の試作 Gaを連続照射中に活性窒素を断続的に供給するシャッター制御法を用いて15周期のInGaN/GaN多重量子井戸構造を作製したところ、基板温度750℃という高温でもInの取込みが確認され、ヘテロ界面での成長中断無しでデバイス構造の作製が可能であることが示された。X線回折測定では明瞭な高次回折ピークが観察され、良好な界面と周期性を有する多重量子井戸構造の形成が確認された。また、GaNはシャッター制御法、AlNはMEE法を用いてGaN/AlN超格子を成長し、RHEED観測により平坦な成長が行われていることを確認した。 4. GaN結晶の表面モホロジーの改善 MBE法により成長したGaN結晶は一般に反転ドメイン構造を多く含む窒素極性膜であり、窒素極性膜は表面の平坦性や化学的な安定性でGa極性膜に劣る。ここでは成長初期過程の制御でMBE法でもGa極性を持つ極めて平坦でピット等の無いGaNをAl_2O_3基板上に成長する可能性を見出した。今後はこのGa極性膜を用い、周期の異なるGaN/AlN超格子構造を作製し、ヘテロ界面の評価や量子準位間遷移の光物性の測定等を行う。
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