研究概要 |
本研究の目的は,ミリ波帯における誘電体楕円板共振器の設計手法を明らかにし,高性能周波数選択素子の実現を目指すことである.従来,本研究代表者は,マイクロ波帯での低誘電率材料により構成された誘電体楕円板中に生起されたウィスパリングギャラリーモード(W.G.モード)の共振特性を波動論的に明らかにしてきた. ミリ波帯での回路設計を考えた場合,小型化の必要から誘電率の高い材料で素子を構成する必要がある.しかし本研究代表者がこれまでに用いてきた解析方法をそのまま,高誘電率誘電体共振器の解析に適用することは不可能である.よって前年度は高誘電率誘電体楕円板共振器の共振特性を知るために,この共振器の固有値方程式を算出する手法を理論的に導いた.具体的には,高誘電率誘電体楕円板共振器中を伝搬するW.G.モードの全ての電磁界成分を考慮して解析を行っている.共振器の全ての電磁界成分を考慮することにより,本解析法は従来の解析法に比べ,数学的取り扱いが複雑になったが,この解析手法を数値的に解くことにより,誘電体楕円板の共振周波数をより高精度に算定する事が可能となった. 本年度は,誘電体楕円板内及び周縁部,外部における電磁界分布,共振周波数を実験的に把握し,前年度の研究で得られた計算結果と比較検討した.この実験には,本年度研究補助費より購入した誘電体材料(アルミナ)を用いている.また,材料の加工には,同じく購入したボール板や旋盤を用いた. この実験結果については,電子情報通信学会春季大会(1999年3月)において発表予定である.また,電子通信情報学会論文誌に投稿準備中である.
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