研究概要 |
本研究では,移動通信システム側に加わる負荷を軽減するために,従来の研究とは異なり,各ユーザが自身の位置特性・移動特性を自動的に監視・モデル化し,自らのパーソナルモビリティ情報を移動通信システム側にフィードバックするパーソナルモビリティ自動モデル化システムを構築することを目的としている.パーソナルモビリティ情報を用いて,チャネル割当て,位置登録等のネットワーク制御の最適化を行い,周波数利用効率,通信トラヒック特性を改善することも目的である. 本年度は,パーソナルモビリティデータを用いながらネットワーク制御を行うことによりネットワークの性能を向上させるアルゴリズムを提案した.具体的には,パーソナルモビリティデータを用いたいくつかの無線ATMの回線制御アルゴリズムを提案し,その有効性を示した.これらのアルゴリズムは,バーチャルパスの制御,ハンドオフの制御の際に有効なアルゴリズムである. また,パーソナルモビリティを抽象的なモデルを用いてモデル化し,そのモデルを用いて移動通信システムの性能解析を行った.このモデルにおいては,各ユーザそれぞれの移動パターンを考慮しており,きめこまかいパーソナルモビリティのモデル化を実現している. また,ユーザのモビリティが周波数利用効率,通信トラヒック特性などに及ぼす影響を明らかにするために,自動車に乗ったユーザのモビリティが通信トラヒック特性に及ぼす影響を昨年度に引き続き理論解析し,近似理論解析手法を提案した. これらの結果から,本研究の目的であるユーザのモビリティ情報を取得し,ユーザのモビリティ情報を考慮しながら移動通信システムを制御することの有効性を示せたと考えている.
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