研究概要 |
本年度に行った研究業績を要約すると次のようになる. 1. 量子符号の誤り率を最小にする量子最適受信機の特性分析 誤り率を最小にする量子最適受信機について,決定作用素のレベルでも具体的に明らかにされていたのは,2元信号などの一部の信号系に対してのみであった.これに関連し,群共変的信号のもつユニークな特性に着目し,以下のように研究を行った. (1) 昨年度の研究で導出した群共変的信号の必要十分条件を用い,任意の2元線形符号が群共変的であることを明らかにした. (2) 任意の2元線形符号に対し,誤り率を最小にする量子最適受信機が,いわゆるSquare-root measure-mentであることを,その群共変性から示した. (3) (2)で求めた誤り率を最小にする量子最適受信機を,様々な線形符号に適用し,大きな相互情報量を得るためにも有効であることを例示した. 2. 混合状態に対する量子最適受信機の特性分析 応用上重要な混合状態信号に対する量子最適受信機の特性分析を行った. (1) これまでに明らかにされていなかった,2元混合状態信号に対する最適決定作用素を,2次元系に対して導出した. (2) 2元混合状態信号の量子最適受信機の実現のためのユニタリ作用素の構造を,2次元系に対して明らかにした. 3. 光受信機入力信号を生成するユニタリ変換の信号空間上での振る舞いの考察 光受信機入力となりうる量子状態を生成するためのユニタリ変換の信号空間上での振る舞い,特に,信号空間における回転変換との関係を考察した.
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