本研究では、アナログ信号に対する誤り訂正に関する研究を行なってきた。 昨年度は、BCH符号をアナログ信号に適用し、誤り訂正を行なう方法を提案した。この結果によれば、デジタル信号に対するBCH符号に対して、誤り訂正を行なうための冗長ビットが少ないという利点がある。しかし、アナログデータの微小ノイズや歪みの影響の解析が複雑であるという問題点がある。また、ハードウエアの実装が複雑であり、困難であるという問題点もある。 そこで、本年は、ハードウエア化が単純である多数決素子をアナログ信号に応用した用いた誤り訂正法を提案した。この方法によれば、ハードウエア化に必要な非線形素子は、閾値素子のみであり、ニューラルネットワークの技術などを用いれば、実装は簡単に行なえると考えられる。また、微小ノイズの影響の解析も行なうことが可能である。しかし、符号化の効率はBCH符号を用いた方法の方が優れており、いっそうの検討が必要である。 また、本研究では、アナログ信号に対する誤り訂正法だけでなく、デジタル信号に対する誤り訂正法の実装についての結果も考案した。これは、アナログ信号に対する誤り訂正法の実装の検討から生まれた結果であるが、有益な結果であると思う。本方法によれば、BCH符号の訂正を、少ないハードウエアで高速に行なうことが可能である。
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