研究概要 |
船上のマストや煙突などの構造物による電波伝搬への影響を測定するために、常時信号が得られ、V,UHFの任意の周波数が利用可能な、テレビ電波を利用して実験を行った。方法としては、客観的な評価が得られる274ビットからなる文字放送のデータパケットの受信率の変化を時系列で、測定評価した。その結果、電波は構造物による遮蔽よりも反射波のほうが時間的に多く影響を受け、通信に障害となることがわかった。また、この時の電界強度はそれほど変化しないものの、伝搬経路が大きく変化することで同期を必要とする通信には不利なことがわかった。周波数ごとの受信率への変化はテレビのVHF帯では、それほど大きく差はなかったが、UHF帯と比べると、後者の方が圧倒的に船体の動きや、送信局との相対方位で大きく受信率に影響があることがわかった。 鉄板で遮蔽された船内と船外との通信については、UHF帯のトランシーバーを用いて船内各所から発せられた電波の、電界強度を測定し、伝搬経路について検討を行った。大略すると、下層の甲板から発せられた電波は通路や階段を伝搬経路として伝わってくることが、電界強度を調べることであきらかになった。さらに、同一甲板に、ガラス窓がある場合あり、その大きさによっては、そちらを伝搬経路とすることもわかった。このときは、受信側が移動する場合、フェージングを伴うことも明かになった。今後、船上通信の安定化を計るために、必要な伝送手段や装置の提案を行う予定である。
|