研究概要 |
本研究の目的は,人の顔や動物などの自然物体を含めた3次元非定型物体の視覚学習過程の計算モデルの開発である.本年度は,昨年度に提案したBスプラインを用いた閉曲面表現への直接当てはめ(B-spline Function to a 4D closed surface model:BF4D)の検証を行った. BF4D法は,形状を表現する座標系として球座標を,表現する関数として一様なBスプライン関数を用いる.この表現方法は,閉曲面が球座標系の原点に関しての星型形状の曲面に限定される.しかし,多くの3次元非定型物体の表現に有効である. この表現方法を用いて,多視点から撮影したX線シネ心血管造影画像を統合し左心室内腔の形状を3次元再構成するシステムを構築した.昨年度は,コンピュータで生成した画像系列と形状が既知の風船を用いた実画像系列の実験を通して提案手法の検証を行った.本年度は,4つの臨床例による検証を行った.まず,前処理となるユーザーインターフェースを用いた左心室領域の輪郭抽出と3次元再構成パラメータの設定システムについて,放射線科専門医が手動でトレースした輪郭との比較や,被験者による調査を行った.次に,4つの臨床例について,BF4D法を用いて3次元再構成を行い,実画像であってもBF4D法が安定に収束すること,および2方向に固定するより視点を変化させて撮影した入力画像からの方が高精度に再構成できることを確認した.
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