本研究は、人間との共存を前提とした自律移動ロボットの行動に対して、予測の考え方を取り入れて、より安全に滑らかに動く予測行動型自律移動ロボットシステムを開発することを目的としている。本研究は2年計画で、今年度(2年目)は、以下のような手順で、外部環境情報を取り込むためのセンサシステムの製作、ベースシステムとのハードウェア統合、および実験ソフトウェアの実装を行い、予測行動型自律移動ロボットシステムのプロトタイプ機の開発を完了した。 1. 自律移動ロボットのセンサシステムの製作 ロボットの作業空間の外部環境情報を取り込むために、複数の超音波距離センサを用いて周囲の障害物との距離を計測するセンサシステムを、消耗品費を使用して、製作した。本センサシステムは、8個の超音波距離センサを45度間隔の等方向リング状に配置したものから構成し、ロボットが周囲の複数の状況(障害物との距離)を同時に計測可能となるように製作した。 2. 自律移動ロボットシステムの開発完了〜センサシステムとベースシテムとの統合 本センサシステムを、昨年度製作したロボット移動のためのベースシテムと統合することにより、予測行動型自律移動ロボットシステムのプロトタイプ機を完成させた。 3. 予測行動型自律移動ロボットシステムの実験ソフトウェアの実装 本自律移動ロボットシステム上に、予測行動計画系の実験ソフトウェアを以下の手順で実装した。 (1) ロボット内部のワンボードコンピュータ上への基本移動プログラムの実装 (2) ロボット外部のデスクトップコンピュータ上への予測行動計画系プログラムの実装 (3) 両コンピュータ間の無線モデムによる通信プログラムの実装 現在は基礎的な実験データを収集中であり、今後はこのデータを基に予測行動計画系の理論的修正を行い、より実用的な予測行動計画系の構築へ向けて展開する予定である。
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