研究概要 |
本年度は,磁性体粉末を電気泳動法を用いて基板上に固着させた厚膜型味センサを用いた飲料識別装置の自動計測化,ならびに測定方法の検討を行った.厚膜型味センサを複数個同時に使用できる専用ホルダの作製,および交付された「自動計測装置作製支援装置」等によるデータ収集装置の作製により再現性が向上した.しかし,再現性は90%程度まで向上しているが目標である95%以上までは届かなかった.また,測定方法をこれまでの試験方法(センサを試料溶液に浸して出力が安定するまで放置する)とは異なり,基準溶液(精製水)に一定量(1ml)の試料溶液を滴下した場合のセンサ出力の定常値からの変化を測定する方法へ変更したところ著しい応答特性の改善が得られた.匂いの計測等ではキャリアガスによるフロー型の計測システムが良好な結果を示すことが報告されている.本研究で用いた手法はそれに近い方法であり,応答時間が5〜10数秒程度にまで短縮された. 本研究により,磁性体を使用した飲料識別装置は,再現性および応答特性の点で特性の改善が得られた.しかし,長時間の連続使用に関しては耐久性等に問題が残っている.この問題に関しては,センサの薄膜化(科学研究費基盤研究(B)(2),課題番号:1055133)等で引き続き検討を行い,十分実用に耐えうるシステムを開発する予定である. なお,これまでの研究は,計測自動制御学会東北支部第174回研究集会(試料番号:174-1,1998年)および平成10年度電気関係学会東北支部連合大会(試料番号:1G-15.1998年)で報告した.また,現在これらの成果をまとめた論文は計測自動制御学会論文誌へ投稿中である.
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