研究概要 |
地上衛星間レーザー長光路吸収法とは,地上と衛星との間でレーザー光を伝送させ,レーザー光の吸収から途中にある大気微量分子の濃度を測定する方法である。本研究では,次世代地上衛星間レーザー長光路吸収法の基礎的な研究を行い以下の成果が得られた。 (1) 研究代表者が提案した遺伝的アルゴリズムを用いる衛星搭載レトロリフレクターの光学設計手法の改良を試みた。突然変異の確率などの遺伝的アルゴリズムの探索効率に影響を与えるパラメーターのチューニングを行った。この結果,約10年前は大型計算機で1日かかった衛星搭載レトロリフレクターの設計値の最適化が,市販の安価なパーソナルコンピューターで,1時間程度で行えるようになった。 (2) 上記手法を,4素子衛星搭載レトロリフレクターなどの新型衛星搭載レトロリフレクターの評価に適用し,従来の衛星搭載レトロリフレクターとの比較を行った。4素子衛星搭載レトロリフレクターとは空洞型レトロリフレクターを対象な4方向に配置して,観測可能領域を拡大したものである。可視,近赤外におけるレーザー測距,赤外におけるレーザー長光路吸収法のターゲットとしての性能を評価した。 (3) また新しいレーザー遠隔計測手法として,カオス変調を用いたレーザーレーダー手法を提案し,計算機実験による評価を行った。レーザー発振においてカオス的な発振は通常ノイズとして避けられるものであるが,本手法では積極的にカオス発振するレーザー光を用いてレーザーレーダー計測が可能であることを明らかにした。
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