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表現型可塑性を有する個体発生過程に基づくロボットの神経回路・形態の創発的形成

研究課題

研究課題/領域番号 09750487
研究種目

奨励研究(A)

配分区分補助金
研究分野 計測・制御工学
研究機関名古屋大学

研究代表者

石黒 章夫  名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (90232280)

研究期間 (年度) 1997 – 1999
研究課題ステータス 完了 (1998年度)
配分額 *注記
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1998年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1997年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
キーワード進化ロボティックス / ニューラルネットワーク / シミュレーションと実環境間のギャップ / ニューロモジュレータ / 動的再編成機能 / 頑健性 / 多義的・多型的回路 / 身体性 / 動的再構成 / 創発的進化 / 学習 / 行動選択 / 個体発生 / ロボットの形態
研究概要

近年,ロボットのコントローラあるいは形態をも進化的手法により,ボトムアップ的に構築することを目指す進化ロボティクスと呼ばれる分野が注目を集めている.進化ロボティクスは,設計者がロボットの身体性や,ロボットとその環境との間に存在する相互作用を陽に意識しなくとも,コントローラの構築に反映されるため,強力な設計手法となりうる.また,コントローラとしてニューラルネットワークを用いた場合,ニューラルネットワークはセンサ入力とアクチュエータ出力を直接結びつける極めて低次レベルのコントローラの記述法であり,このため逆に高い創発性が期待できるという優れた特徴を有している.
ところで,進化過程には通常多大の計算時間を必要とするため,進化過程は必然的にシミュレータ上で行う.しかしながら,シミュレーション環境と実環境は似て非なるものであり(摩擦やノイズ,センサの個体差などの不確定要素が多数実世界には存在する),また進化は通常経験させた環境に特化する傾向にあるため,進化させた個体が実環境ではしばしば適切に機能しないという問題が指摘されている.
そこで,本研究では,「シミュレーションから実環境へのシームレスな移行」の実現を目的とし,「コントローラの構築において,何を進化の対象とするか?」という根元的な問題から考察を行った.その結果,行動主体(ロボット)と環境との間に存在するフィードバックループの調節の仕方を進化の対象とすることにより,この問題が大幅に緩和されることがわかった.ここで,状況に応じてフィードバックルーブを調節するということは,シナプス荷重に全情報を埋め込んでいた従来の一義的なモデルと異なり,ニューラルコントローラの構造が多義的・多型的になることを意味している.そこで,この機能を実現するために,実際の生物で観測される,神経修飾物質(ニューロモデュレータ)による神経回路の動的再編成現象に着目し,モデルを構築した.
提案する手法の妥当性を検証するために,ペグを光源までロボットが押すというタスクを例に取り,シミュレーションと実機を用いた実験を通して検証した.その結果,シナプス荷重を進化の対象とする従来手法は,シミュレーションでは高い評価を得ていた個体が,実環境に移行するとその機能が破綻した.一方,提案する手法では,実環境においてもシミュレーションと同様の機能が発現することが確認できた.
本手法は,進化と学習というこれまで乖離して扱われていた概念を有機的に融合することができ,かつ環境変動に対して,高い頑健性を有することが確認された.このため,学術的のみならず産業的にも極めて高い価値を有するものと確信する.

報告書

(2件)
  • 1998 実績報告書
  • 1997 実績報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (10件)

  • [文献書誌] T.Kondo et al.: "Autonomous Robot Control by a Neural Network with Dynamic Rearrangement Function" Proc.of the Fourth International Symposium on Artificial Life and Robotics. 324-329 (1999)

    • 関連する報告書
      1998 実績報告書
  • [文献書誌] 石黒章夫 他: "動的再編成機能を有する神経回路モデルの提案-自律移動ロボットの行動制御への応用-" 第11回自律分散システム・シンポジウム資料. 213-218 (1999)

    • 関連する報告書
      1998 実績報告書
  • [文献書誌] 藤井亮暢 他: "動的再編成機能を有するニューラルネットワーク:歩容制御への適用" 第11回自律分散システム・シンポジウム資料. 35-38 (1999)

    • 関連する報告書
      1998 実績報告書
  • [文献書誌] 近藤敏之 他: "動的再編成機能を有するニューラルネットワークを用いた自律移動ロボットの行動制御" 第16回日本ロボット学会学術講演会予稿集. Vol.1. 587-588 (1998)

    • 関連する報告書
      1998 実績報告書
  • [文献書誌] 藤井亮暢 他: "動的再編成機能を有したニューラルネットワークによる多脚歩行ロボットの歩容制御" 第8回インテリジェントシステム・シンポジウム講演論文集. 497-500 (1998)

    • 関連する報告書
      1998 実績報告書
  • [文献書誌] 近藤敏之 他: "表現型可塑性を参考にしたニューラルコントローラの進化的構築" 計測自動制御学会論文集. Vol.34(6). 648-650 (1998)

    • 関連する報告書
      1998 実績報告書
  • [文献書誌] 石黒章夫 他: "個体発生過程を用いたニューラルコントローラの進化的生成" 第36回計測自動制御学会学術講演介予稿集. 709-710 (1997)

    • 関連する報告書
      1997 実績報告書
  • [文献書誌] 近藤敏之 他: "自律移動ロボットの形態形成と制御器の共進化的獲得" 平成9年度電気関係学会東海支部連合大会講演論文集. 363-363 (1997)

    • 関連する報告書
      1997 実績報告書
  • [文献書誌] 近藤敏之 他: "表現型可塑性を有するニューラルコントローラの進化的構築" 第15回日本ロボット学会学術講演会予稿集. 1. 167-168 (1997)

    • 関連する報告書
      1997 実績報告書
  • [文献書誌] A.Ishiguro et al.: "Evolutionary Construction of a Neural Network Based on the Ontogenetic Process with Phenotypic Plasticity" Proc.of International Symposiumon System Life. 139-144 (1997)

    • 関連する報告書
      1997 実績報告書

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公開日: 1997-04-01   更新日: 2016-04-21  

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