研究概要 |
本研究では,モアレ縞の元になる投影格子の光強度を変調することによりモアレ縞本体の強度を変調し,縞の強度からその次数を決定する「強度変調モアレトポグラフィ」を考案し,実験によってその効果を確認した.強度変調モアレでは,投影格子の光強度をいかに精度良く計測できるかが全体の計測精度に大きく影響する.従来のCCDカメラ(512×512画素,濃淡256階調)では,強度差を識別できる観測格子の本数は20本程度であり,得られる強度変調モアレ縞の本数は8本程度であった.今回,新たに冷却CCDカメラシステム(1536×1024画素,65536階調)を導入した事により,強度差を識別できる観測格子の本数は30本以上となり,計測精度は大きく向上した.現有の格子投影用プロジェクタ(640×480画素,RGB各256階調)ではこれ以上高精度の投影格子を生成できない. 次に,得られた強度変調モアレパターンから,モアレ縞の強度パターンに基づいて高精度の奥行き計測を行う「モアレ縞の位相解析」を提案し,実験によってその効果を確認した.本手法では,モアレパターンが正弦波状に変化していることに着目し,その位相を決定することで縞と縞の間の部分でも距離計測が可能であることを示した.強度変調モアレと組み合わせることで,モアレパターンの位相解析範囲を2π以内に押さえる事ができ,位相を一意に決定できる. 対象物体の表面反射特性(反射率,色,テクスチャ等)による影響を補正するため,あらかじめ基準画像を撮影しておき,格子投影画像をこの基準画像で正規化する手法を開発した.この正規化においても,冷却CCDカメラによる階調分解能向上の効果はきわめて大きく,補正の精度は大きく向上した.
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