研究課題/領域番号 |
09750521
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
計測・制御工学
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研究機関 | 山口県立大学 |
研究代表者 |
野村 厚志 山口県立大学, 国際文化学部, 助教授 (40264973)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1998年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1997年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 画像処理 / 視覚情報処理 / エッジ検出 / 数値実験 / 反応・拡散 / Turing不安定条件 / 神経回路網 / ビジョン / Oregonatorモデル |
研究概要 |
前年度の研究により、Turing不安定条件下における反応・拡散モデル(BZ反応・オレゴネータモデル)の初期値分布として、離散化された画像データを与えると、画像中のパターンのエッジ部分が検出されることを確認した。本年度は、人間の視覚(特に認識に至る前の段階の初期視覚)における情報処理のメカニズムの解明とそれに対するモデルの提案を目的としてさらに研究を進めた。すなわち、前年度は反応・拡散モデルとして化学反応のモデルを用いたが、本年度は生物の神経回路網における信号の伝播の様子をモデル化したFitzHugh-Nagumoモデルを用い、このモデルが単安定の場合、画像中のパターンのエッジ検出が行なえることを、また双安定の場合、画像中のパターンの領域分割が行なえることを確認した。また、人間の視覚システムは両眼で奥行きを検出することが可能である(両眼立体視)が、先のTuring不安定条件下におけるFitzHugh-Nagumoモデルの領域分割の機能を用いることで、ランダムドットステレオグラムから奥行き検出を行なえることも確認した。これらのことから、人間の視覚システムにおけるエッジ検出・領域分割そして両眼立体視の機能を、Turing不安定条件下における反応・拡散モデルによって実現可能なことが明らかとなり、これが視覚システムのモデルとなりうろことが示された。さらに、これらの研究成果の画像処理への応用も考慮し、高速演算法として反応・拡散モデルの一種であるBerkleyモデルを用いたエッジ検出・領域分割法も実現した。今後は、これらの研究成果を踏まえ、特に人間の両眼立体視のメカニズムの解明を目的として、既に心理学の分野で知られている知見を説明可能なようにモデルを改良していきたい。
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