研究概要 |
本研究は,干満帯や飛沫帯,海上大気中など変動する環境下におけるコンクリートへの塩分浸透予測手法を確立するための基礎的検討を目的としている. 平成9年度は,コンクリートの品質と環境条件の両方の影響を含む「等価拡散係数」について,その値と経時変化特性を検討した. 平成10年度は,拡散係数と同様に塩分浸透予測に必要とされる表面塩化物イオン濃度について以下のような視点から検討を加えた. (1) 環境条件とコンクリートの品質が表面濃度の値とその経時変化特性に及ぼす影響 (2) 等価拡散係数と表面濃度の関係 (3) 表面濃度の予測方法 その結果,以下のことが明らかとなった. (1) 外部環境からの塩分供給量が多いほど,コンクリート内部における拡散係数が小さいほど,コンクリート表面における塩分濃度は,高くその増加速度も大きい. (2) 等価拡散係数と表面濃度の値は互いに関連があり,両者の関係は双曲線式で表すことが出来る. (3) 一度の測定でコンクリート中の塩分濃度分布を測定し,そこから等価拡散係数と表面濃度を求めれば,条件によってはそれ以降の等価拡散係数と表面濃度の経時変化特性が把握でき,本研究で提案する塩分浸透予測を実構造物に適用できる可能性が確認された.
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