研究概要 |
本研究では,鋼道路橋の設計および維持管理を支援するための知識ベースエキスパートシステムに,ルールベース推論手法と事例ベース推論手法を用いた応用技術を考案した.したがって,1)ルールベース推論手法と事例ベース推論手法を用いたシステムの枠組み,その仕掛けと双方の役割分担についてシステム開発を実現しながら明らかにした. また,事例ベース推論手法で用いる事例情報の構築では,過去の点検・検査結果,および損傷に適合した補修補強を実施した時の有用な記録情報である事例データを建設CALS技術を用いて,国際文書標準規格(ISO8879)であるSGML(Standard Generalized Markup Language)と,国際図面標準規格(ISO10303)であるSTEP(STandard for the Exchange of Product model data)に従って整理・蓄積し,情報の共有化を促進する施策を考案した.したがって,2)専門知識を如何にして次世代へ継承しでいくか,という問題を解決した. そして,ルールベース推論手法で用いる知識情報の構築では,知識獲得のボトルネック現象を解消するために,事例情報からラフ集合理論を適用し,ルール知識を自動誘導する手法を提案し実現した.したがって,3)KBESの知識獲得機能の方法論を確立した. 平成9年度では,1)建設CALS技術を採用した事例の構築,2)ラフ集合理論を用いた知識獲得手法による知識情報の構築,3)システムの構想立案,4)事例ベース推論手法とルールベース推論手法の応用技術の立案,5)システム化への詳細設計書の作成,6)プロトタイプシステムの開発を行った. 平成10年度では,平成9年度の実績を踏まえて,7)実用システムへ向けての問題抽出と詳細設計書の見直し,8)改定された詳細設計書を基に実用システムを意識しながらシステムの再開発を行った.そして,9)KBESの性能を評価するために,実橋に適用して有用性と実用性を徹底的に検証し高度なシステムとして洗練した.
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