研究概要 |
砂質土のサンプリングにおいて,通常のチューブサンプリングでは試料内に細粒分が介在し十分な脱水が行われない場合,凍結サンプリングにおいては細粒分が多い地盤を凍結させた場合,それぞれ試料を膨張させる恐れがある。 そこで,本研究では,凍結時の拘束圧,排水条件,供試体の飽和度を変えた種々の凍結・融解履歴を豊浦砂供試体にセル内で与え,液状化強度特性および微小変形特性に及ぼす影響を調べた。また,意図的に凍結により膨張させた乱れた供試体も作製し,凍結による乱れが繰返しせん断特性に及ぼす影響を調べた。その結果,以下のような結論が得られた。 1,凍結によって体積が膨張しないように凍結による水の膨張分を供試体外部に排水させた場合,および十分脱水した不飽和供試体の場合は,凍結・融解履歴は液状化強度に影響を及ぼさない。 2,凍結によって体積が膨張し密度が低下した供試体では,膨張量が大きいほど液状化強度が低下する。これは,密度低下のみの影響ではなく,凍結時の拘束圧の違いによる供試体の構造特性の変化に起因するダイレイタンシー特性の相違および密度分布の不均質さも原因と考えられる。 3,凍結・融解履歴は微小ひずみレベルの変形特性においても液状化強度とほぼ同様な影響を及ぼす。ただし,凍結によって同じ相対密度に低下した場合,凍結時の拘束圧に依存しない。
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