研究課題/領域番号 |
09750578
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
地盤工学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
藤原 照幸 (藤原 輝幸) 神戸大学, 工学部, 助手 (80238633)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1998年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1997年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 土の構造 / 粘土 / スラリー / 粘土鉱物 / 温度効果 / 圧密 / 二次圧密 |
研究概要 |
従来から言及されている粘土地盤の年代効果には2つのものがある。一つは、より大きな圧密降伏応力およびせん断強度を発現するというものである。もう一つは、海成粘土を代表とする高塑性の地盤では、大きな間隙比状態の下で安定するというものである。本研究では、まず後者のメカニズム解明に主眼をおいて実験を進めた。種々の温度条件(25℃〜80℃)下で粘土スラリーを沈降・圧密する実験を行うと同時に、間隙水の化学的変化を調べるためにpHと電気伝導度を測定した。この機構としては従来、長期間にわたる堆積過程で、粘土粒子接点に炭酸カルシウムなどのセメント物質が沈着するためであるとされてきた。しかしながら、本研究によると、より高い温度の下で沈降・圧密させると、粘土粒子表面の吸着水が活性化し自由水となるため、粘土粒子表面の電荷がむき出しとなるため粘土粒子が凝集することも年代効果と呼ばれる現象の一因であることが明らかとなった。また、この凝集の度合いは、間隙水の電気伝導度と密接に関係していることも明らかとなった。この現象を常温下で起こりうる現象におきかえてみると、まさに間隙水の塩分濃度の変化に相当すると考えられるが、どれだけの高位の構造をもち、どれだけの疑似過圧密挙動を示すかについては、沈降時に塩分濃度が低すぎると凝集が起こりにくく粘土粒子接点でのイオン結合による接点力が働きにくく、一方、塩分濃度が高すぎると粘土粒子接点でイオン結合による大きな接点力が働くため凝集力が強すぎて間隙比がより小さくなってしまう。したがってより高位の構造を持ち、かつ大きな疑似過圧密現象を示す地盤がつくられる条件としては適度な量の塩分がふくまれている環境の下で粘土粒子が沈降することが必要であると考えられる。 また、室内せん断試験において、こうした粘土堆積物の構造、いわゆる粘土粒子の凝集が構成・破壊される過程においてせん断弾性波速度がどのように変化しているのかを調べるための実験を行ったが、データが少ないため、今のところ明らかな傾向を見いだすには至っていない。
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