研究概要 |
本年度科学研究費補助金を得て,交通と活動の連関を考慮した交通活動分析を行った.本研究では交通行動を抽出した国内最大規模の調査であり,現在でも都市圏レベルでの交通計画の基礎データとして活用されているパーソントリップ調査を,宅外での活動に関する部分を用いて宅外アクティビティダイアリー形式に変換して分析を行った.前年度本科学研究費で構築した一日の活動時間配分モデルでは,個人は1日を最大の効用を与えるように時間配分を行うという仮定のもとに生活時間配分を求めるモデルを構築したが,本研究では1日の活動すべて再現できるようなモデルシステムの開発を行った.本研究では,個人は就業時間や就学時間など自分の意志では場所や時間を変更できない時間があり,それを除いた時間を自分の意志で決定しているとの仮定のもと,自由時間での活動内容,活動場所,移動を伴う場合の交通機関選択および活動の継続時間をモデル化している.これらは活動内容,交通機関・目的地,継続時間の3種の独立なモデルからなり,活動内容選択はロジットモデル,交通機関・目的地選択はネスティッドロジットモデル,継続時間はハザードベーストと離散選択を組み合わせた生存時間モデルになっている.これらのモデルを中京都市圏および京阪神都市圏のパーソントリップ調査を用いて推定し,得られたパラメータを用いて外的な環境の変化が選択行動にどのような影響を及ぼすかの分析を行い,その上で個人の一日の活動をミクロにシミュレートした.また,他者との相互関係を表現するため,交通流シミュレータを同時に用いている.これらのシミュレーションシステムを用いて,時差出勤などのTDM政策の分析を行い,その影響が交通だけでなく活動にどのような影響を与えるかの分析を行った.
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