本研究では、各種の寄りかかり休息姿勢をとることが可能だと判断される物的環境の形状・寸法を、実験により明らかにした。実験は、天板(奥行き30cm)と側板(高さ45cm)からなるL字型断面が自由に昇降する実験装置を作成し、遠目に見て判断する視覚実験と、実際に寄りかかって判断する行動実験の2種類を行った。 前年度は、「腰で・後方へ」「片肩で・後方へ」「両腕で・前方へ」「両頬杖で・前方へ」「片肘で・側方へ」「片肩で・側方へ」の6つの寄りかかり姿勢について実験した。本年度は、これに加えて「両手で・前方へ」「片手で・側方へ」「両肘で・後方へ」の寄りかわり姿勢について実験を行った。測定して得られた高さは、身長に対する比率としてまとめた。 計9種類の寄りかかり姿勢について実験した結果、次のことが明らかになった。(1)1.5m離れてみる視覚的判断と、実際に寄りかかる行動的判断とでは、最適高さ、上限高さ、下限高さともに差は身長の4%以内であり、大きな差はない。(2)「手で」支持する姿勢は、身長の50%前後の高さで生起する。(3)「腰で」支持する姿勢は、身長の60%前後の高さで生起する。(4)「腕、肘、頬杖で」支持する姿勢は、身長の65〜70%前後の高さで生起する。(5)「肩で」支持する姿勢は、身長の80%前後の高さで生起する。(6)人体寸法と高さ寸法が強い相関を示す姿勢は、上腕と体幹の開角度が小さい「肩、肘、頬杖で」支持する姿勢である。
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