研究概要 |
本研究では,イットリア添加PbOの電気伝導度を直流四端子法で測定した.電極には白金を用い,温度範囲400-700℃,雰囲気にはアルゴン-酸素混合ガスを用い,酸素分圧10^<-4>-1atmの範囲で行った.無添加のPbOの場合,700℃における電気伝導度の酸素分圧に対する傾きは,高酸素分圧側で+1/6,低酸素分圧側で0であった.2mol%のY_2O_3を添加したPbOでは,電気伝導度は無添加のものより小さくなった.電気伝導度の酸素分圧変化に対する傾向は無添加のものと同様であったが,低酸素分圧側の傾き0の領域は無添加のものよりも高酸素分圧側に広がった.さらに,電極を金に変えて同様に測定を行った.無添加PbOの場合,電気電気伝導度の値は白金の場合でも金の場合でも同様で変化はなかった.これは伝導種が電子またはホールのみであるためと考えられる.2mol%のY_2O_3を添加したPbOでは,白金電極で測定した電気伝導度の値より,金電極で測定した値の方が小さくなった.白金電極で測定した電気伝導度を全伝導度(電子伝導+酸素イオン伝導),金電極で測定された伝導度を電子伝導によるものとして酸素イオン輸率を計算すると,700℃で約0.3となった.このことからPbOにY_2O_3を添加する事で,格子間に酸素イオンが導入され,酸素イオン伝導が生じるものと考えられる.ジルコニアを添加した場合もイットリアのときと同様の傾向を示した.これはPb2+イオンに対して添加物イオンがY3+,Zr4+と高価数であるためと考えられる.
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