研究概要 |
本年度は異なる組成の組合せを有する三層構造のステンレス・ジルコニア複合パイプ,およびステンレス,ジルコニア以外の金属・セラミックス或いはセラミックス・セラミックス複合パイプの押出し成形実験を試みた.また,複層パイプの焼結過程における接合状態,破損原因などについて検討を行った. 1. 粉末-バインダー混合体の多素材押出しにより,ステンレス・ジルコニア混合比を層毎に変化させた組成傾斜型三層パイプを成形することができた.健全な押出し製品を得るためには,各層のバインダー含有量を適切に選択する必要がある. 2. チタンとジルコニアからなる二層複合パイプは,ステンレスとジルコニアの組合せとほぼ同様な押出し挙動を示した. 3. 内層に酸化ニッケルと部分安定化ジルコニア(ZrO_2-3mol%Y_2O_3),外層に安定化ジルコニア(ZrO_2-8mol%Y_2O_3)からなる二層複合パイプについて押出し実験を行った結果,多素材押出し法によってセラミックス二層複合パイプが成形できることが確認された.健全な二層パイプを成形するために,内・外層に添加する必要なバインダー量は,それぞれ52〜65vol%,63〜68vol%である.このような組合せの二層パイプは将来円筒型固体電解質燃料電池の電解質/燃料極の応用に適用することが可能である. 4. 複層パイプの焼結破損は,主に焼結(特に昇温の後期段階)における各層の緻密化速度の不一致,および各層の収縮率の差によるものである.健全且つ緻密な複層パイプを得るために,各層における複合粉末の混合比,粉末の粒度分布およびバインダーの含有量などを適切に調整することで焼結収縮率を整合する必要がある.本実験条件下で,押出し成形された複層パイプは,無加圧焼結しても各層が接合可能である.
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