研究概要 |
金属基in-situ複合材料における材料全体のマクロスコピックな破壊現象と繊維・界面などのミクロスコピックな破壊現象を合理的に結びつけたメゾ的損傷モデルの構築を目指した.平成9年度は,メゾスコピックな組織因子を制御したモデル試料の創製とその評価に重点を置いて研究を進めた.現有の高周波誘導炉ならびに補助金で購入したイメージ炉を用いてNi-NiO系in-situ複合材料を創製し,各試料に対して走査型電子顕微鏡ならびに透過型電子顕微鏡による絹織観察を行った.その結果,(1)凝固速度Vの増加に対応して,NiO繊維同士の間隔(繊維間隔:λ)は減少すること,ならびに両者の間に他の共晶合金において認められているλ∝V^nの関係が成立すること,(2)繊維のアスペクト比(繊維長/繊維直径)は低速で一方向凝固した場合には50以上になり,高速で一方向凝固するとアスペクト比は約1まで減少すること,(3)調査した凝固速度範囲ではセル状組織には成らず,繊維の形状変化も少ないことなどを明らかにした.平成10年度は,メゾスコピックな組織因子を制御したin-situ複合材料について引張試験と補助金で購入したセンサーを用いてアコースティック・エミッション(AE)試験を実施し,複合材料の破壊形態とAEイベントの発生頻度,AE波形の周波数特性等との関連性について調査し,(1)引張変形中AE-RMS電圧には2つのピークが現れること,(2)低ひずみ側のピークはニッケル母相の降伏現象に対応すること,(3)高ひずみ側のピークはNiO繊維子の破断とNi母相/NiO繊維界面はく離に対応していることなどを明らかにした.以上の結果から,金属基in-situ複合材料の破壊は変形の比較的初期段階に発生する繊維破断ならびに界面はく離等のメゾスコピックな破壊現象に支配されることを明らかにした.
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