研究概要 |
今回の科学研究費補助金により行った特徴的な実験は、グロー放電プラズマに対してX線分析を行った点である。これまで、グロー放電プラズマは機器分析の分野で可視・紫外光の光源やイオン源として利用されてきた。また、半導体デバイス作成時の表面処理方法としても不可欠であり、プラズマプロセスを制御するために主に可視・紫外光をモニターする研究が行われてきた。今回の研究では、グロー放電管に比較的高い電圧(2〜10kV)を印加し、エネルギー分散型X線検出器を用いてX線分析を行った。特性X線、連続X線が観測されたため、これらX線の起源を明らかとするとともに、グロー放電のX線管としての性能や元素分析への応用などを検討した。その結果、グロー放電X線管は小型・軽量・低廉化・取り扱いが容易といった特徴を有しながら、高強度のX線が比較的安定して得られることがわかった。特に、長さ20mm、直径10mmの小型グロー放電X線管(Review of Scientific Instruments,69,1998,pp.4006-4007)は可搬型小型X線分析装置の開発などに注目を集めている。さらに、今回の科学研究費補助金により、可視・紫外光分光器システムを購入できた。高電圧印加グロー放電プラズマに対して可視・紫外分光測定を行い、高電圧印加領域での分光特性・スパッタリング特性などを調査した。その結果、質量の小さいヘリウムガスを放電ガスに用いた場合でも、アルゴンガスに匹敵する発光強度、スパッタリング速度が得られることが分かった。
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