研究概要 |
昨年度においては、急速鋳造プロセスにおける合金組成、凝固条件をパラメータにした初期凝固組織の予測を行うことを目的として、Fe-Ni-Cr三元系についてその組成、凝固速度と凝固組織の関係、さらに過冷状態からの結晶成長について晶出組織とその形成過程を明らかにした。 引き続き本年度は実用ステンレス合金鋼の高温強度特性を調べることを目的として以下のテーマで研究を行った。 1. SUS304,310S,316ステンレス鋼について凝固温度区間における高温引張試験を行い、ZST,ZDTなど凝固温度区間における強度特性を評価した。これにより連続鋳造時の内部割れに対する感受性評価が可能となるが、合金組成、とくに晶出相の種類がこれら強度・延性に及ぼす影響を明らかにした。 2. さらに高耐食性が得られ連続鋳造条件の確立が求められている高Siステンレス合金鋼についても同様に高温強度特性を評価し、Si添加の影響、さらに1070℃付近に現れる脆性領域について、その存在条件の検討を行った。 本研究の結果、前年度の結果より得られた相選択基準に対する知見と併せて、ステンレス合金鋼の連続鋳造における組織制御、操業の最適条件に関する指針と基礎データが得られた。
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