研究概要 |
反応場にレーザー光等の外的因子を入射することで、場の反応平衡を変化させ化学反応を誘導し制御する、新しい工学的手法の開発を行うための基礎的検討を行うことを目的としている。 本手法の対象は、反応経路がほぼ明らかにされており、しかもその生成量が微量でありながら工業分野でその抑制対策が重要な燃焼場における窒素酸化物の生成反応を対象とし、本誘導反応手法を用いるその生成抑制効果について実験的および理論的に検討を進めている。 平成9年度は、次に示す本手法の理論的考察を実施した。 (1) 燃焼シミュレーションコードを用い、メタン-空気燃焼におけるNO_Xの生成経路の反応速度パラメータ(頻度因子,活性化エネルギー)を変化させることにより,NO_X低減のために関与が大きな化学種および反応経路を推定した。 (2) メタン-空気の燃焼反応に関与する化学種の振動エネルギー,振動-回転エネルギー,および結合エネルギーの計算を行い、(1)で推定した化学種との共鳴周波数領域を推定した。 (3) メタン-空気燃焼場にレーザー光を導入し、レーザー光の波長(周波数),光強度とNO生成量との相関を検討するための実験系を整備し実験を実施したが、顕著な反応改善にはつながらず、実験系の光学系配置を改良し再度検討することが必要であるものと考えられた。
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