研究課題/領域番号 |
09750838
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
反応・分離工学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
向井 紳 京都大学, 工学研究科, 助手 (70243045)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1998年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1997年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 固体酸触媒 / ヘテロポリ酸 / Y型ゼオライト / 固体化触媒 / フェノール樹脂 / ノボラック樹脂 / 炭化フェノール樹脂 / 固定化触媒 |
研究概要 |
ヘテロポリ酸(HPA)は強い酸性を有し、耐熱性も比較的高く、水和反応や加水分解反応などの水が関与する反応に対し高い活性を示す。HPAは水への溶解度は高いが、その分子径の大きさ(約1nm)を利用して担体に固定化することができれば、液相用固体酸触媒として利用することが可能となる。申請者はY型ゼオライトを担体としてそのスーパーケージ(径約1.3nm)内でHPAを直接合成することでHPAの包含固定化に成功している。しかし、Y型ゼオライトは耐酸性がそれ程高くないため、得られた固定化触媒が利用できる反応系は限定される。そこで、本研究はHPAを耐酸性の高い多孔性材料へ包含固定化することを目的に実施した。 耐酸性の高い多孔性材料として、多孔性炭素が考えられる。そこで、ノボラック樹脂合成時にHPAを原料に加え、樹脂合成段階での包含を試みた。HPAは強い酸性を有し、樹脂合成の触媒としても働くため、HPAは樹脂構造中に取り込まれやすいものと思われる。この様にして得られた樹脂に硬化剤を加えて硬化させ、炭化することにより固定化触媒を得ることに成功した。得られた固定化触媒に対して温水で洗浄するという操作を繰り返した結果、2回目の操作以降は、HPAがほとんど溶出しないことがわかった。この固定化触媒の反応活性を酢酸エチル合成をモデル反応として評価した結果、担体の細孔の入口サイズが小さいために固定化触媒の活性は均相のHPAと比較して小さいものの、炭化温度、硬化剤の種類および添加量を調節することで、均相の30%程度まで活性を向上させることが可能であることが明らかになった。 Y型ゼオライトはそのシリカアルミナ比を高くすることで、耐酸性が増すことが知られている。そこで、水蒸気処理を施して脱アルミニウム処理をしてシリカアルミナ比10〜330としたY型ゼオライトを担体に用いた固定化触媒の合成を試みた。その結果シリカアルミナ比が20〜100の担体を用いると、HPAの固定化が可能であることがわかった。得られた固定化触媒に同様な洗浄操作を行った結果、2回目の操作以降は、HPAがほとんど溶出せず、また酢酸エチル合成反応においては、均相の50%程度の高い活性を有することが明らかになった。 以上により、HPAを耐酸性の高い多孔性材料へ包含固定化することで、水が関与する反応に対して高い活性を有する固体酸触媒の開発に成功した。
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