研究概要 |
本年度に取り組む課題は交付申請書の研究実施計画にあるように1、分子モジュールA・Bの連結、2、超分子の構築、3、活性発現の反応条件の検討、である。 1、 分子モジュールA・Bの連結のためにはどのリンカー配列が良いか決める必要があり、コンピューターを用いて検討した。分子モジュールA・Bの両者が近傍に来ることがリンカーの必要条件である。そこで、-Pro-Pro-Pro-,-Pro-His-His-,-Gly-Pro-などのいくつかの配列をインプットし分子力学場計算をしたところ-Gly-Pro-のみが目的の立体構造を取った。そこで以下の実験はこの配列を採用した。 2、 超分子前駆体として分子モジュールA・Bを一Gly-Pro-で架橋した36merのポリペプチドの合成を行った。分子モジュールA・Bを別々に合成して-Gly-Pro-で架橋する方法ではなく、ペプチド自動合成機でC末端から1段でN末端まで合成した。精製後MSで確認を行った。次に、この超分子前駆体を使って抗原であるエイズウイルスgp41ペプチドおよびポリフィリンの取り込みを各種分光学的手法を用いて検討した。CDスペクトルから、gp41ペプチドは超分子前駆体への取り込みがゆっくりしていて、しかも取り込まれた後も、ゆっくりしたコンフォーメーション変化を起こすと推定された。一方ポルフィリンはすぐに取り込まれ、その後ゆっくりと超分子前駆体のコンフォーメーション変化が起こること思われた。この結果はUVスペクトルおよび表面プラズモン共鳴法の結果からも支持された。 3、 超分子前駆体と両抗原とを同一の反応系に加え、各種実験条件を変化させてgp41ペプチドの消失をHPLCで追跡した。ポルフィリンに金属イオンとしてMnを導入したものを用い、反応温度50〜60゚Cで数十倍の酵素活性を発現できた。この時、Mnを含まないポルフィリンでは全く活性を示さなかった。
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