研究概要 |
色素包括リポソームでタンパク質を標識し、キャピラリー電気泳動で分離、そして化学発光検出するという新しいタンパク質の分離・検出法を検討した。標識剤としての色素包括リポソームは、泳動後キャピラリー先端での化学発光試薬(有機溶媒)と混合され、リポソーム膜の崩壊により、多量の蛍光色素を放出する。それらを化学発光検出することにより超高感度なタンパク質検出が可能となる(「増幅型」の検出)。 まず、色素包括リポソームで標識されたタンパク質を泳動させるに先だって、泳動溶液中のpH、化学種組成などがリポソーム膜へ与える影響について調べた。色素包括リポソームは、化学発光検出するにあたり、その条件下で十分に安定であることがわかった。次いで、実際に色素包括リポソームで標識したタンパク質の泳動挙動を調べ、検量線を作成し検出下限を確認した。 さらに、これらの実験の結果を踏まえて、抗体固定化ガラスビーズを用いて行う免疫分析法とキャピラリー電気泳動-化学発光検出装置との組み合わせを検討した。まず、坑-人血清アルブミンを固定化したガラスビーズを用いて免疫反応を行った(競合法)。この時、標識剤にはエオシンY包括リポソームを用いた。反応溶液をキャピラリー電気泳動-化学発光検出装置で分離・検出した。化学発光系はシュウ酸ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)オキサレート-過酸化水素系を利用した。人血清アルブミンの検出下限は5x10^<-6>M(15nM)で、定量濃度範囲は5x10^<-6>M〜5x10^<-4>Mであった。また、本法をヒトコントロール血清中のタンパク質定量に応用した。
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