研究概要 |
本研究課題では、金属触媒によるCO_2の接触水素化反応の電子的メカニズムを理論的方法によって研究することである。平成9年度の研究成果は以下に具体的に述べる。 (1)銅触媒上での水素、Formateの吸着状態及び水素とCO_2の共吸着の電子状態の解明 銅系触媒はこの反応プロセスに実用されている触媒である。水素は銅表面上で解離吸着し、共吸着水素とCO_2の反応スタートからFormateを中間体として生成するという実験結果が示唆している。我々は、銅表面上での水素及びFormateの吸着構造や電子状態の研究を行った。いずれの場合、Bridge siteの吸着構造が安定であることが分かった。また、吸着Formateがanion状態であることを明らかにした。水素とCO_2の共吸着の場合、従来のクラス-モデルが無効であり、負吸着エネルギーしか出ない。しかし、Dipped Adcluster Modelにより、正しい共吸着電子状態を初めて報告した。 (2)銅触媒上でのメタノール合成反応の電子的メカニズムの解明 銅表面上でのCO_2の接触水素反応によるメタノールの合成反応プロセスに対して、全ての可能な反応中間体・遷移状態のエネルギー及び電子状態を計算し、この反応メカニズムを初めて理論的に解明した。このプロセスは五つのステップで構成し、Formate,Dioxomethylene,FormaldehayetoとMethoxyがこの反応の中間体であることが我々の研究結果から確認した。また、このプロセスの律速段階はFormateからDioxomethyleneへのステップであることがわかり、触媒設計の指針を与えた。これらの結果に基づいて、銅触媒に添加する助触媒の効果、他の金属による触媒反応の可能性などについて検討を進んでいる。
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