研究概要 |
Bi^<3+>は^3P_0→^1S_0遷移による吸収、励起及び発光スペクトルを示す。希土類イオンとイオン半径が近いことから、希土類イオンを含んだ化合物を母結晶とした場合、置換固溶させやすいといった特徴をもつ。その発光色は用いる母結晶によって異なり、紫外から赤色まで様々な発光色を示す。一方、GdTa_7O_<19>はCeTa_7O_<19>と同形であり、その結晶構造においてGd^<3+>は周囲のO^<2->とGdO_8^<13->多面体を形成し、GdO_8^<13->は同一面内においてTaO_8^<11->多面体によって互いに遮蔽されている。このGdO_8^<13->とTaO_8^<11->とからなる層と層の間に、TaO_7^<8->の形成する層が二重に入り込んでいる。Gd^<3+>はO-Ta-Oを介して六個の最近接サイトをもち、そのGd^<3+>間距離は0.62nmと長く、GdO_8^<13->を含む層間距離は約1nmと求まり、見かけ上、Gd^<3+>は二次元的に配置されているものとみなすことができる。合成はGd_2O_3,Ta_2O_5,Bi_2O_3を所定量秤量した後、エタノールを用いてボールミルを行った。これを乾燥、成形した後、空気中で1200℃で24時間焼成し、試料を得た。得られた試料について、XRDによって相同定を行い、また分光蛍光光度計、紫外可視分光光度計によって光学的特性評価を行った。合成した試料は全て、単一相として得られた。Gd_<1-x>Bi_xTa_7O_<19>のXが0.1、0.2、0.3、1.0の試料についての励起スペクトル、発光スペクトルの測定を行った。励起スペクトルは310nm付近に最大値を持つピークとして得られた。Bi^<3+>濃度の増加と伴にピークは長波長側ヘシフトした。またその形状もやや変化し、左肩部分に盛り上りが見られるようになり、プロードになった。一方、発光スペクトルは500nm付近に最大値を持つピークとして得られた。Bi^<3+>濃度の増加と伴にピークは長波長側へややシフトした。このようなBi^<3+>濃度の変化に伴う、励起、発光スペクトルの変化を結晶構造の精密化によって得られた原子座標から、Bi^<3+>のエネルギー準位の変化によるものとして説明できた。
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