研究概要 |
1. ポリイソプレン(A)とポリスチレン(B)からなり、末端に1、1-ジフェニルエチレン型ビニル基を有するテレケリックBAB型トリブロック共重合体3試料をモノマーの逐次添加アニオン重合によって合成した(M_w≒7×10^4,M_w/M_n<1.1,w_<PI>=0.14,0.31,0.49 ここでw_<PI>はポリイソプレンの重量分率)。さらにこれら共重合体の約0.2%THF溶液中にナフタレンカリウムを過剰量添加して末端二量化(環化)反応を行い、そのうち環化したと考えられる部分のみをGPC分取した。分子量測定ならびにNMR測定の結果、3種類の分取物は対応するBAB型共重合体とほぼ等しい分子量および組成を有していることが確認された。 2. 3種類のBAB型トリブロック共重合体と対応する分取物をそれぞれジクロロメタン溶液として-40℃でオゾン処理することによりA部分の主鎖切断を行った。GPC分析した結果、BAB型共重合体はいずれもポリスチレン部分の分子量が定量的に半減したのに対し、分取物はいずれも分子量変化しなかった成分約90%と分子量が半減した成分約10%に分かれた。この結果より3種類の分取物とも、リング共重合体純度は約90%であることが示された。 3. BAB型共重合体(線状共重合体)ならびに分取物(リング共重合体)のベンゼン溶液キャスト膜からのモルフォロジーを、オスミウム酸染色後、透過型電子顕微鏡観察したところ、組成の異なる3組の試料はいずれもそれぞれ球状、六方棒状、および交互ラメラ構造を示すことが確認された。また小角X線散乱測定より、リング共重合体の方が対応する線状共重合体に比べていずれもドメイン間隔が狭いことが確認された。これはリング共重合体が相分離構造内でループ型配置のみを取り、末端を有する線状共重合体に比べ、相分離界面に対して垂直方向への拡がりが小さいことが起因していると考えられる。
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