| 研究概要 |
本研究では,ラジカル重合における高分子の立体構造規制を行う上で最も重要な因子のひとつであるポリマーラジカルのコンホメーション制御を取り上げ,種々の構造を持つラジカルのコンホメーションをESRにより解析し,反応基質の化学構造とコンホメーションの関係を明らかにするとともに,ルイス酸などを加えることにより成長ラジカルのコンホメーションを任意に変化させ反応の立体化学制御を試みた.さらに,重合速度,立体規則性,共重合速度,ならびに共重合反応性に及ぼす重合溶媒の効果を明らかにすることができた.従来まではこれらの効果は一般に小さいと考えられてきたが,本研究では顕著な効果の現れるフマル酸エステル,イタコン酸エステル,マレイミドの重合系の速度解析を行い,溶媒効果の反応論的な解釈を行った.つづいて,成長反応制御の観点から結晶重合反応を詳しく調べるとともに,結晶構造と反応生成物の構造制御との関係を明らかにすることで反応設計への展開をはかった.まずムコン酸誘導体結晶の固相光重合に関する詳しい検討を行った.なかでも,立体規則性高分子の合成とトポケミカル重合の反応解析について重点的に研究をすすめ,結晶構造の構造や重合中の変化の追跡などから,トポケミカル反応機構や結晶構造とポリマーの一次ならびに高次構造との関連を明らかにするができた.さらに高分子結晶あるいは高分子微粒子としての特性解析も行い,新規な有機層間化合物としての機能を見出した.
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