研究課題/領域番号 |
09751006
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
航空宇宙工学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田川 雅人 大阪大学, 大学院・工学研究科, 講師 (10216806)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1998年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1997年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 原子状酸素 / グラファイト / 宇宙環境 / 走査トンネル顕微鏡 / 低地球軌道 / 材料劣化 / 炭素材料 / 表面反応 / ポリイミド / 劣化 / 高分子 |
研究概要 |
本申請においてはlaser breakdown型原子状酸素発生装置の特徴を生かして、構造材として機体各部に広範に利用されている炭素系材料のモデル材料として熱分解黒鉛(HOPG)を選び、原子状酸素との反応を研究室に現有の超高真空対応走査トンネル顕微鏡(STM)とX線光電子分光装置(XPS)を用いてin-situ観察を試みるものである。本研究の結果、5eVの運動エネルギーを有する原子状酸素がHOPG基底面と反応する場合には、STM像においてprotrusionが観察された。これは反応サイトにおいて炭素原子が気化反応で失われ、ダングリングボンドに酸素原子が吸着したために生じた、局部的な電子状態の乱れに起因するものと思われる。このprotrusionの密度は原子状酸素のフルーエンスと比例関係にあり、その傾きから反応確率は10^<-3>程度であることが明らかになった。この値はこれまでスペースシャトルを使って宇宙での質量減少から計算された原子状酸素とグラファイトの反応確率(0.13)より2桁小さい。これは原子状酸素のフルーエンスが大きくなると観察されるhillock like structureにより、その斜面ではグラファイトのプリズム面が現れることから、、反応の進行しやすいプリズム面での反応が支配的になるためであると考えられる。また、XPSの結果からは原子状酸素のフルーエンスが約4x10^<17>atoms/cm^2で表面酸素量は飽和値(0.94)に達し、ほとんどが化学吸着状態であることも確かめられた。これにより、steady-stateな原子状酸素とグラファイトの反応系ではグラファイト上の吸着酸素の影響を考慮する必要があることが示された。
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