研究概要 |
本年度の研究実績は以下の通りである。 (1) 応力場算出のため解析法の開発 マルチプレット震源分布より計測できる地下き裂構造面とその構造面の滑り方向から主応力を推定する方法を考案し,これを具体化した。構造面すべり方向は,モーメントテンソル解析をもとにしたグリッド法により,少数の3成分地震計の配置により推定できるようになった。逆解析法は,ボーリングコア中のスリッケンサイドを用いた応力計算法を導入したもので,ここでは,最大,中間,最小主応力方向,および最小主応力により正規化された最大主応力,中間主応力を算出することが出来る。これらの応力場は,き裂内の間隙水圧の関数として計算可能である。 (2) 実フィールドデータの解析 クリントン石油フィールドで計測されたAEに適用し,主応力方向ならびに主応力比を推定した。本結果は、AEの発震メカニズム解析で推定されている応力場とよい整合性が見られ,有効性が明らかになった。本成果は,国内学会において発表するとともに,国際雑誌への論文としてまとめている。今後は,国内外の高温岩体発電実験フィールドで計測されたAEの解析を行ない,応力場計測を行なうとともに,本方法についてさらに具体的な検討を行なう。
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