研究概要 |
本研究は、プログリシニン及び成熟型グリシニンの高次構造を比較することにより、グリシニンの液胞へのターゲティングシグナノレ構造を明らかにすることを目的としている。本年度は、以下の点について朋究を行った。 1. プログリシニンの構造解析 プログリシニンの構造を解くにあたって、多重重原子同型置換法を用いた。昨年度では、15から3Aまでの回折データを用いて行った精密化は、R値が22.7%であった。本年度では、さらにモデリングと精密化を繰り返すことにより、R値が20.0%、free-Rが25.9%となり、プログリシニンの構造解折を完成させた 2. 成熟型グリシニンの構造解析 成熟型グリシニンは、NES緩衝液(pH5.8)中で、沈澱剤としてMPDを使用し、20℃で6ケ月間保温したところ、X線回折実験に充分な大きさを持つ単結晶(0.3×0.3×0.3mm)を得た。本結晶の予備的X線結晶構造解析を行ったところ、本結晶は空間群R3、格子定数a=115,b=115,c=190Å α=β:90°,γ=120°であった。非対称単位中に2つのサブユニットを含んでいた。 3. 今後の研究の展開 成熟型グリシニンの結晶に関して2.5Å以上の回折強度を測定する。そこで、完成したプログリシニンの高次構造をサーチモデルとして分子置換去を試みる。分子置換方を適用できない場合は重原子同型置換法を用い、成熟型グリシニンの高次構造を解明する。そして、プログリシニン、成熟型グリシニンの高次構造を比較することにより、液胞へのターゲティングシグナルとして機能している領域構造を推定する。
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