研究概要 |
本研究の最終目的は,任意の施業に対応した林木の成長や材質の予測が可能なシステム収穫表を構築することであり,昨年度は枝下高推定モデルを作成した。今年度は,幹内の節分布や樹冠材・枝下材の区分の表示が可能なシステム収穫表を構築するとともに,このシステム収穫表とGIS(Arc View)の相互リングを行った。 節分布モデル作成のための資料として,九州の代表的なスギ品種,アヤスギ,ヤブクグリ,クモトウシ,ヤマグチの20年生林分から,それぞれ4本を選定し,枝基部径,枝長,枝水平距,枝垂直距を測定した。枝密度(幹1m当たりの着枝数)の平均値は,ヤブクグリとヤマグチが23と高く,アヤスギ,クモトウシはそれぞれ18と17であった。 一方,枝基部径はクモトウシ,アヤスギで大きく,ヤマグチ,ヤブクグリて小さかった。枯枝が最も多く残存していたのはクモトウシで,その枯枝長(着葉高から最下枯枝基部高までの長さ)は5〜6mであり,枯枝長が最も小さいのはアヤスギ(1〜2m)であった。これらの測定結果をもとに,幹内の生節・死節の分布モデルを品種別に作成し,枝打の有無あるいは強度の違いが節分布に与える影響が把握できるシステムを構築した。また,枝下高推定モデルを基に,樹冠材・枝下材の区分が表示される機能を追加した。 ArcViewの開発言語を用いて,システム収穫表とGISとの相互リングを行った。これにより,システム収穫表の実行画面で予測対象地を選択すると予測結果がリアルタイムでGISに表示され,一方,GISで対象地を選択すると,リアルタイムで予測結果が出力されるシステムが構築された。
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