研究概要 |
薄板鋼板部材を木質構造の一部に組込んだ場合の振動性状に関して検討した。本研究では、枠組壁工法壁枠組上の薄板鋼板床根太を用いた2階床組に関して、人が歩行した場合の振動性状を、従来の枠組壁工法床組と比較検討した。床スパンは3,640(4P)および4,550mm(5P)の2種(幅4P)で、支持条件は両端のみの2辺固定とした。鋼製床根太には鋼材倶楽部規格ZSB400(E=2,100tf/cm^2)のリップ溝形鋼235LCW12(1.2mm厚,I=303cm^4)を用い、鋼材同士を4.8φ×19mmタッピンねじで、床下張り材1級構造用合板15mm厚とは4.2φ×30mm(【triple bond】0mm)タッピンねじ(ウレタン系接着剤併用)で、1階壁頂部とは7.0φ×300mmスクリューネイル(【.right filled box.】5mm)で緊結した。3kg粘土塊を5cm高さから床中央部に落下させ、変位等をレーザ変位計で測定した。木床4P,5P,鋼製床4Pおよび5Pにおいて、鉛直方向最大動たわみ量はそれぞれ0.246,0.216,0.275および0.403mm、振動減衰時間はそれぞれ0.257,0.887,0.610および1.345secであり、概して木より鋼製が、また長いスパンほど大きい傾向を示した。床根太下端の水平方向最大変位量は、開断面である鋼材ではねじれ振動が発生したため、非常に大きくなった。固有振動数は木より鋼製が、また長いスパンほど小さかった。被験者13名による床歩行感に関する5段階の官能評価では、鋼製より木が、また短いスパンほど優位と判断された。官能評価点には減衰時間がより支配的であった。各鋼製床根太のスパン中央部下端にV字型防振金物(1.2mm厚)を取付けた場合、各項目において性能の向上が確認された。5Pでは防振金物をスパン4等分点に3個取付けた場合、さらに性能が向上した。ALC版37mm厚(気乾かさ比重0.55)を床上に施工した場合では、概して鋼製床の方が良好な数値を得た。木質構造に鋼製床を導入する場合、今後さらに検討すべき項目は残されているが、本研究における適切な措置により木床と同等以上の性能が期待できる。
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