研究課題/領域番号 |
09760159
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
林産学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
井上 雅文 京都大学, 木質科学研究所, 助手 (20263155)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1998年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1997年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 木材 / 水蒸気前処理 / 加熱圧締 / 圧密化 / 寸法安定化 / 高強度化 / ロールプレス / 木質ボード / 水蒸気 / 前処理 / 圧縮 / SEM / 応力暖和 / クリープ |
研究概要 |
水蒸気前処理による圧縮木材の寸法安定化について実験を行い、処理条件を確立すると同時に、処理材の顕微鏡観察、横圧縮試験、粘弾性実験によってその機能発現のメカニズムを考察した。さらに、本処理を応用し、連続式ロールプレスによる圧縮木材の製造、木質ボード類の試作を行った。得られた結果は以下の通りである。 1. 水蒸気前処理温度、時間の増加に従い、回復度が低下し、10分間の処理では、210〜220℃の処理で、変形はほぼ固定された。回復度(SR)と重量減少率(WL)には、相関が認められ、両者の関係は、SR=-10.8WL+80.6で近似された。処理材の吸湿性、吸水性は、処理温度の上昇とともに低下し、220℃処理材のそれらは無処理材の50%以下、FSPは約15%であった。 2. 横圧縮試験およびそれに引き続く応力緩和試験から、水蒸気前処理の程度が増すに従い、木材の横圧縮性が増加することが確認された。処理材を電子顕微鏡観察したところ、180℃以上で処理試験片の一部で、木材細胞壁の切断、はく離などの細胞構造の崩壊が確認された。クリープおよびクリープ回復試験から、処理条件の増加に従い、木材の流動成分が増加することが確認された。従って、水蒸気前処理による圧縮木材の回復抑制の機構は、ミクロフィブリルが低分子化し木材が脆弱となるため、細胞壁は大変形に伴って塑性破壊を受けやすくなること、マトリックス成分の三次元ネットワーク構造の一部崩壊によって、木材成分の粘性流動が増加することなとであると考えられた。 3. ロールプレスによる圧縮木材の製造では、圧締時間が短いため、ロール直後の変形回復が問題となるが、水蒸気前処理は、これを緩和するための有効な手段であることが分かった。 4. 木質小片を水蒸気前処理することによって、寸法安定性に優れたOSB、パーティクルボードが得られた。処理による強度劣化は、素材の揚台より小さかった。
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