研究課題/領域番号 |
09760171
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
水産学一般
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大越 和加 東北大学, 農学部, 教務職員 (20233083)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1998年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1997年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 環形動物 / 多毛類 / スピオ科 / Polydorids / 穿孔特性 / 穿孔機構 / 石灰基質 / 貝殻構造 / 穿孔 |
研究概要 |
環形動物、多毛類の中の最も大きい科の一つであるスピオ科には、さまざまな生息型が報告されている。特にPolydoridsの仲間には石灰基質に穿孔する種、穿孔しない種と2つのグループが存在し、その穿孔特性は基本的に種特異的であることが著者らにより明らかになりつつある。穿孔特性の鍵は形態的側面より大きく変形した第5剛毛節に、穿孔機構は穿孔して作られた石灰基質の孔道内表面の微細構造にあるのではないかと考え、両面より調べた。 第5剛毛節に定着期前後に現れる球状物質は、形態学的にも、組織学的にも、元素組成的にも第5剛毛以外の剛毛節に常に存在する粘液腺とは異なるものであった。直径40μmの球状物質は、PAS反応陰性、アルシアンブルー陰性を示し、大型の細胞と電子密度の高い顆粒から成っていた。元素組成については明らかにある元素が局在した。 石灰基質に作られた孔道内表面の微細構造を観察すると、調べたすべての種類の孔道に特徴的な同心円状の孔が存在した。一方、同種内に於いて、穿孔した貝殻構造の違いにより、同心円状の孔が現れなかったり、現れにくかったりする傾向が見られた。同心円状の孔の現れ方と貝殻構造との関係や、貝殻内表面の侵蝕状況より、穿孔機構は基本的には化学的にある酸でもって酸に可溶な有機質と炭酸カルシウムが溶解又は半破壊し、次に各剛毛節の剛毛や体全体の動きで機械的に行われていると推測された。 今回の実績として、国際多毛類学会議での発表、投稿中のものを含めて論文3報、単行本執筆1報(共著)公表の予定である。研究の基盤が整いつつあり、球状物質と穿孔特性の関係、同心円状の孔と穿孔機構の関係等、スピオ科の石灰基質穿孔機構の本質的な研究はこれからである。
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