研究概要 |
定置網の漁獲効率に関する基礎的な知見を得るため,岩手県大槌湾のサケを漁獲対象とした小型定置網で箱網とキンコの漁獲割合を調べるとともに,キンコに入網するサケの行動を観察した。 1. 箱網とキンコの漁獲割合 小型定置網の箱網とキンコを個別に揚網し,両者の漁獲割合を調べた。実験は平成11年11〜12月に9回実施した。実験期間中のサケの合計漁獲尾数は1166尾で,このうち,箱網の漁獲尾数は369尾,キンコの漁獲尾数は797尾であった。これより,箱網とキンコの漁獲割合は32%:68%となった。 2. キンコに入網するサケの行動 箱網からキンコへ至る漏斗網の先端部に水中ビデオカメラを設置し,キンコに入網するサケの行動を観察した。実験は平成11年11月〜12月に9日間実施した。観察時刻は6:00〜17:00とした。実験期間中に合計326個体のサケの行動が観察された。サケの入網尾数は夕刻の15:00〜16:00に増加する傾向がみられた。また,漏斗網から逸出する行動はまったく観察されなかった。 以上の結果より,サケを漁獲対象とした小型定置網におけるキンコの設置はサケの対網行動に適合した方策であり,定置網の漁獲効率を高めるための有効な手段であるものと考えられた。
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